◆木工事4 断熱工事
本日から壁に断熱材を充填していく工事を行っています。
住宅の断熱工事は充填断熱工法と言われる柱の間に断熱材を入れていく工法が多く、
今回の住宅もこの工法で工事をしています。
充填工法においても断熱材の種類はたくさんあり、一般的にはグラスウールやロックウール
が多く、セルロースファーバーやポリエステル系と言った環境対応製品もあります。
充填工法以外にも外断熱工法等もあり、地域やお施主さんの要望により工法や断熱材の種類
を住宅毎に検討します。
さて断熱材の性能を表す単位に熱伝導率というものあります。
値が小さいほど熱を伝えにくく、主な材料の熱伝導率はおおよそ下記の通りになります。
鉄・・・・・・84 W/(m・K)
硝子・・・・・ 0.6 W/(m・K)
木材・・・・・ 0.15 W/(m・K)
ロックウール・ 0.028 W/(m・K)
この値から厚みを考慮した値が熱抵抗値であり、
例えば今回の壁に使用したロックウールは105mmですので、
0.105m ÷ 0.028W/(m・K) = 3.75(m2・K/W)となります。
断熱材の性能によって熱伝導率は違います。
熱伝導率の小さい断熱材を入れても厚みが薄かったり、
逆に厚みがあっても熱伝導率が高いと熱抵抗値は小さくなります。
家の性能を考える上では熱抵抗値の値が重要になってきます。
外断熱工法だからと言って断熱性能が良くなる訳ではなく、使用する断熱材と厚みが
重要となってきます。
ところで、住宅版エコポイント申請をする上でもこの熱抵抗値が指標の一つになり、
次世代省エネルギーの基準のとして住宅の基礎・壁・天井の熱抵抗値が規定されています。
しかしここに少し落とし穴があり、この数字には窓の大きさ等が考慮されていません。
いくら壁の断熱材の熱抵抗値が良くても、窓が多くては実際の住宅の熱抵抗値は小さくなっ
てしまいます。
そしてトレードオフと言って窓の性能を良くすると、天井の断熱材を半分に出来ると
言った緩和もあります。
この数値で次世代省エネルギーを満たす訳ですが、実際の断熱性能には疑問符が生じます。
そこでもう一つ住宅の断熱性能を示す数値に熱損失係数と言うものがあります。
これは室内外の温度差が1℃の時、
建物全体から1時間に床面積1m2あたりに逃げ出す熱量のことです。
この値が小さいほど断熱性能が良く、滋賀県では次世代省エネルギーを満たす値
として熱損失係数 2.7W/m2・K 以下という値が定められています。
この値を計算するには、窓の大きさや、壁の量、使用している断熱材の種類等全てを検討し
ますのでその家本来の断熱性能が分かります。
私達の家も物件毎にこの計算を行いますので、より快適な温熱環境を設計し提案しています。
そしていくら理論上の数値が良くても施工する時に気を付けないと隙間が生じたり、
充填不足も考えられます。
という訳で断熱材の施工には細心の注意を払っています。
家の断熱性能を良くすることは省エネに繋がり、地球にも優しい家となります。
もっと詳しく知りたい方はご連絡をお待ちしています。
中津